まじめなはなし

スティグマの腕に抱かれて (2) 偏見と寝て多様性の夢を見る

前記事からのつづきです。わたしは思いつく限りの選択肢から、候補を2つに絞りました。 「いやだわ、あなたは普通の女性と幸せになるべき方でしょ」と昭和の演歌のような態度で固辞するか、もしくは「すいません少し考える時間をください……」と言ってひとまずこの場をしのぎ、店に事情を話してよい対処法の教えを仰ぐか、です。後者の方がより波風が立たず、自らを「普通ではない女」と名乗る必要もなく、スタッフの知恵も借りられてよいように思いました。しかし、残念ながらその店には頼れるスタッフの心当たりがありませんでした。見た目だけで戦意を奪えるような腕っぷしの強い人も、理詰めや交渉術で戦える頭脳派タイプの人も、業界トラ...
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スティグマの腕に抱かれて (1)「セックスワークは生き延びるための手段」ということにしておいて欲しいのは自分ではないのか

「セックスワークは生き延びるための手段」と思いたかったのは自分ではないのか - 包帯のような嘘 ブログを更新しました。文章を書くのは昨年の現代思想以来かもしれない。— マサキチトセ | Masaki C (@GimmeAQueerEye) 2016, 1月 1昨年末にわたしが投稿したこちらの記事を読んで、マサキチトセさんが執筆してくださったものです。あの文章は言葉を伴った反響をいただくことが少なく、もちろん気軽に感想を述べやすい話題ではないことは百も承知なのですが、わたしの話が「非当事者は黙れ、何も言うな」と受け取られているのだとしたらちょっとこまるな、と思っていたところでした(「知ったような...
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わたしにだって言わせない

最近は別館のブログにも少しずつアクセスが増えて、うれしい限りです。あれは架空の「同業種経験者で話のわかる人」に向かってはしゃぎながらワーワー喋っているようなものなのでだいたいテンションがおかしいですが、そうではない堅気のお仕事の方もけっこうついてきてくださるので嬉しさにひとりニヤついています。ありがたいことです。ニヤニヤ。そればかりか最近のこれに関しては「勉強になりました」という感想も多くいただき、みなさん本当によい子ですね。いま「よいこ」で変換したら何よりも真っ先に「よゐこ」と出てきて面食らいました。よゐこ、嫌いではないですが、入力したことがあっただろうか。でも出てきたってことはきっとあった...
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読んだ本:お母さん二人いてもいいかな!?/中村キヨ(中村珍)(1)

お母さん二人いてもいいかな!? 中村珍/中村キヨ単行本(ソフトカバー): 192ページ 出版社: ベストセラーズ (2015/10/24)「感想文」を書くのはとてもとても難しすぎたので、とりあえずわたしが特に気に入ったり印象に残った場面を端から挙げることにします。p020 サツキさんの答えは一見ただのチャーミングだけど実はとても言い得てるし(その言葉の解釈によるんだろうけども)当てはまる人けっこういるって思った、わたしもそうだp024 サツキさんの「起きて!」がすごくかわいい……かわいい。はぁかわいいp049 「創業百年おいしい亭」ててて適当!適当だけどこういう「漫画中での適当表現」におけるセ...
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生きていかなきゃしょうがないんで

夏の終わり頃に、カミングアウトについての議論に触れる機会がありました。きっかけは、どこかの雑誌が、ある男性のセクシュアリティをアウティング(本人が公表していないことを、同意を得ず暴露すること)したことでした。その人物がトラブルの渦中にあり、どうやら擁護のしようもない状況だとたくさんの人が彼に対して深く失望していた最中だったため、そのセクシュアリティを侮蔑したり面白おかしく揶揄したりする人が出てしまい、特に同じセクシュアリティを持つ人にとって失礼で暴力的な言葉があの時期にはしばしば飛び交っていました。——「疑惑」とかいう言葉はどう考えても不当でしたが、その報道自体については、わたしはいまはっきり...
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