前のブログがあまりに先行きわかりまセンターフライなムードで年の最後があれというのもどうかと思うので、買ったものなどをゆるく紹介します。今年手元によくあったな〜、とかそういうことなので、発売されたのは全然今年じゃなかったりします。
読んだ本
能町みね子『結婚の奴』
読んだ人たちの感想をネットで読んでいると、面白かったり笑ったりの一方で読むのが辛かったり苦しかったり…もけっこう見かけて、ああ確かにそういう本だなあと思う。わたしは全体的にはかなり楽しくて、何度も読んだ(ニヤニヤしながら付箋めちゃめちゃ貼って、付箋が多すぎて読みにくくなったのでkindle版を買った)。にもかかわらず「感想」を記すことがすっごく難しい。どう書いても単なるわたし自身の過去の回想と世にある恋愛というもの結婚というもの普通というものとの確執、怨念やなんやかやを整理する内省大会、とてもじゃないけど他人の読むようなものではないウニャウニャしたなにかになっちゃう気がして。でもこの本そのものが、自分の内面や個人的いきさつ、終わりのない内省を文章にして外に出し作品とし社会と繋げることのひとつのすごい成功例のようにも思える。そしてまだこの本と出会っていない人の中に将来「あーこれもっと早く読みたかったな!」ってなる人がいっぱいいるはずなので、書名をもっととどろかせたい気持ちはあるんだよ。
村井理子『兄の終い』
こういった話が身につまされる年齢になってきちゃったあ……。
厳しい状況を一時的に強く支え合って拓いてゆく女性ふたりの姿が力強く、勇気づけられながら一気に読んだが、読み終わってから、とても暴力的なものにもなりえた一冊なのでは、と思う。著者のSNSなどを見ていると、関わった人や多賀城の人々がこの本の存在によって力付けられたり心を動かされて、近しい人たちの間にこの本の輪が広がっている、そんなような様子がみてとれた。やりようによってはそうもできるのか、と感銘を受ける一方で、本書に登場する小学生の子どもが「この本の存在に気づいた」という一節を目にして動揺した。こういった作品が世に出るにあたって、子どもの同意はやはり必要なのではないか? 保護者の許可があればいいだろうか? でも子どもの同意を得る、ということは果たして本当にできるものなのか? それは何歳であれば彼らの意思であるとみなしてあげられるのか? そういうことを考え始めたら分からなくなってしまった。
金田淳子『「グラップラー刃牙」はBLではないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ』
好きなものを好きといえることは自分を幸せにするが、それをより上手に言えることは他人をも幸せにする。早口長文とそして注釈、注釈から滲み出す愛。注釈が充実している本の満足感すごくない? いい注釈が書ける人になりたい。
ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』
3回くらい読んでるのにまだ読み終わらない。何度読んでも読み終わらない気がする。死ぬまでずっと読んでるんだろうか。
齋藤真理子・編『韓国・フェミニズム・日本』
収録されているチョ・ナムジュ『家出』が家庭内で大ヒット。これはきっと母も好きだろうと思って朗読(小さな字を読むのは困難なので)した。出かける用事があったため前後半の全2回公演にしたら、あまりに先が気になってわたしがいない間にルーペを使って最後まで読んだのだそうだ。その日は一日「目がショボショボしてよく見えない〜」と言っていてかわいそうだったけど、そんなことはめったにないので嬉しくもあった。
コスメ
unleasia/Tap Me Palette Duo
こういう「とりあえずキラめこうぜ」ってアイテム大事。マットなシャドウと遠慮のないキラキラグリッターのセット。本体のパッケージそのものも遠慮のないサイズ。ちょっとかさばる。良い。使い切れる気がしないが、マスクメイクってチマチマした気分になるのでこのくらい堂々としててくれるとこころづよいですね。
&be/ファンシーラー
最初に使ったとき「ワロタ」と思った。往年のネットスラングが出るほど「目元にオレンジとイエローベージュ」なんてことは昔からある話、もう何十年も前から言われていたはず。物心ついたときにはケサランパサランのあのセットを何度も雑誌で見ていたしそれなりに実践してきたわけですが、2020年にもなってえっこれいいですねが起こると思わなかった。目元のカバーアイテムにまだこんなにこなれる余地があったことへのワロタが起こった。
ワトゥサのスーパーカヴァー・ファンデーション ポッツが、アプローチとして間違ってなさそうだしアイテムとして好きだが色素が自分と噛み合わない、あともっと緩めてほしい…という人(つまり過去のわたしです)におすすめ。
映画とかNetflix
ハスラーズ
わかりみ選手権身につまされ大賞。
チャーリーズエンジェル
船の上のシーンで泣いた。みんな大好き。
クイーンズ・ギャンビット
止まらなくなるとは聞いていましたがほんとそれだった。
依存症を扱う作品で患者が女性っていうのがあまりなかった気がするのと、スリップ=破滅、ではないこと、行きつ戻りつ時にはもはやこれまでかという局面を経ながらも一日ずつ生き延びそれを続ける、というのが描かれていてよかった。
個人的にものすごく気に入ったのが、セックスと「一対一で付き合う特別な関係」という形の恋愛が結びついていないこと、それを特別なケースとも逸脱の一種ともしていないこと、肉体関係を持っても友情が変質しないことが普通に描かれていること。主人公が誰かと寝てみたいという気持ちが「この人に恋してる」とか「この人のものになりたい」ではなく「この人どんな感じのやりかたするんだろ〜」という好奇心や興味からなのかもなあ、という感じでよかった。これを(いいなと思ってる男性がほかにいるという理由で)自暴自棄の末の自傷行為だと解釈している感想もあったけどわたしはそうは受け取らないな。たったひとりの愛し合う異性とセックスすることが幸福であり尊いものでありまた人間的な成長と人生の実りをもたらすのである、というアレを自然体で言われるとたいへん息が苦しいので、こういう作品があると自発呼吸ができてありがたいです。
そのほか雑貨とか
PILOT ケセラメ
ラメインクのフリクションみたいなペン。フリクションの名前がついてない理由と作用機序については文具王さんのYouTubeとかを見てください。下に貼ってあげたから。まじで勉強になるから。
フリクションが出たときわたしはとっくに大人だったんですが、中学生のときにもしあったらめっちゃめちゃめちゃ使ってただろうな〜と(書いたものをヘアアイロンとかで消して友達と交換して家で冷やして読んでたりしそう!)ずっとずっと思ってて、しかもなおかつあげくこのラメ。ああ、タイムマシンで持っていってあげたい。絶対に絶対に喜ぶ。あのころ書いていた手紙の内容や毎日しんどかったなーみたいなことまでモクモクと煙が立ち上るように思い出し、文具屋さんの店内で16歳へとつながるトンネルを掘ってしまった。近年自分の10代を振り返り、今さらおおう、、、と驚愕してあの頃の自分に大人として手を差し伸べてやりたいという気持ちが芽生えてきたが、タイムマシンはないので別のやり方を考えなくてはならない。そんなことを思ってモワモワさせられてしまうペン。ああ、かわいい。
エネタンポ
気候によって肩が痛む(むかし事故でケガしたところ)のを暖めると多少よくなるのですが、使い捨てカイロは熱くなりすぎて調節が難しいしゴミが出るのがちょっとストレス、玄米やあずきのカイロは重さが辛く(大した重さじゃないはずなのにズキリと感じてしまう)、これを試したらよかった。軽くてちょうどいい暖かさ、ちょうどいいサイズ感。アンペア数であたたまる速度が変わるので2Aがおすすめ。冬の夜中に指先をあたためるのにもよいし、マミさんのふくらはぎが攣ってしまったときに巻いてあげたらよろこばれた。
iPad Air 4
これは盗撮の慰謝料で買った。おかげで何もかも嫌になり、もうずっと家にいよう、と思い、おこもり生活のおともとして衝動的に買った。
全裸+顔のセットが撮れていない&客が非正規雇用というわたしの苦痛と関係のない事情によって金額が低かった。盗撮の増加と、巧妙化に伴う手軽化(矛盾してきこえるね)は前から言ってるけど、そのうえ慰謝料が下がっている感じもする。まあわたしひとりで何十件も経験してるわけではないので分からないし店の値段やらなんやらにもよりますが…とにかく全員苦しんでほしい。
買ってしまってみたら(iPadは10年ぶりなので)この10年の進化にウワァ…となり、めちゃめちゃ楽しく満喫しています。10代のころはそこかしこにちまちましたイラストをいっぱい描いていたのに大人になってからすっかり忘れてしまってて、あの感覚をまたちょっと思い出した感じが嬉しい。
ここまで書いて最後が呪詛。しょうがない。そんな感じです。