読んだ本:すべての女性にはレズ風俗が必要なのかもしれない。/御坊

いろいろ考えて迷った末にやっぱり読んだ、という話です。「いろいろ考え」たもようを上にいくつか載せましたが、このときのもっと長いTwitterログ全体はこちらにあるので、読みたい方はどうぞ。

永田カビさんの『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』というコミックエッセイをきっかけに、「キャストも利用者も女性の風俗店」がインターネットで話題にのぼり始めたように思います。わたしは書籍化される元となった作品(Pixivで発表されたもの)を読んでおり、時にハラハラしたり重い気持ちになったり、自分の仕事のこといっぱい考えさせられたり、また時に共感したりクスッと笑えたりもしました。ただ内容とは別に、プレイ後に料金を支払っている描写にたいへんびっくりして、せこいお客さんが少ないってことかな、でもちょっと心配だな、と思ったことを覚えています。
実際には料金は先払いとのことなのでこのことは取り越し苦労だったのですが、それ以来なんとなく気にはしていたのです。


つい最近になって『さびしすぎて〜』で永田さんが利用されたお店の方が書かれた『すべての女性にはレズ風俗が必要なのかもしれない。』を読みました。

ぱっとしない風俗業界で新しい可能性を切り拓こうとする人のユニークな一代奮闘記、として読む人も、女性が利用する風俗店という舞台に秘密めいたロマンティックなものを感じて本を開く人も多いだろうと思うし、女性の性的な欲求やファンタジーについて考えるきっかけになったり、いろいろな読み方がある本だと思います。

わたしは同じ風俗業界の違う業種である男性向けデリヘルで働いている人、として読み、同意できるところ、ひっかかるところ、驚かされたところも納得いかないところもありました。
ページをめくりながら考えたことや気持ちなど、主なところだけバーッと書き出します。この立場の人の感想はネットのレビューとかにも上がりにくいかなあと思うので、せめてわたしひとり分でもという気持ちです。

引用文中で「男性向け風俗店」と書かれているのは、女性のキャストが男性の利用者にサービスする性風俗店、という意味で使われており、わたしの文もそれに倣っています。


p.035 性風俗店のルールというよりも、ベッドを共にする者同士の、最低限の約束事
本当にそれ/いいこと言う/風俗店を利用する人全員刮目せよ/でもあまり認識されてないことが多くて日々疲弊するよね

p.039 男性向けの風俗店では1時間3900円
少数の極端な例をあげるときりがなく、60分3,900円(だいぶ特殊なはず)でも60分39,000円以上(前者よりはあるか)でも存在するっちゃするのが男性向け風俗である/しかし本文中に明記されていないがホームページを見るとレズっ娘クラブの料金は男性向け待ち合わせ型デリヘルのボリュームゾーン内に入っていると思う[*1]/にも関わらず「びっくりの値段」「あちらは供給過多で低価格競争がとどまることを知らなくなっているそうで」と書かれることに違和感/極端に安い店に問題があることは事実だが/これでは男性向け=買い叩きとやっつけ仕事だらけ、といったイメージで読まれないか

p.065 でもこれって、おかしいですよね
ここでおかしいと言われているのは男性向け風俗にも存在するシステム/危険な客をあらかじめ遠ざけられる非常に少ない比較的有効な方法のひとつ(個人的体験による)/男性向け業界においても客から支持が得られているとはいえないことは確かだが、おかしい、というフンワリした理由でつぶさないでほしい/利用者が女性でご自身が男性のため必要以上の威圧感を与えてしまう、そこに思い至らなかった、という反省なら超わかるけど

p.076〜077 気づいてあげられなかったのは痛恨の極み
気づいてあげられなかったせいというより、そもそものやり方の不備では?/まず男性向けではこの出張コース自体やる店は多くないと思うが、もしやるなら店の携帯くらいは持たされるだろう/せめて「連絡してくれればよかった」ではなく事前にそう明文化して伝えておくべきこと/トラブルが起こるべくして起こったこんなゆるゆるの体制で「ボロボロに」なってしまったキャストさんを思うと胸が痛む/これは男性向けにあるノウハウというか意識をもってすれば未然に防げた、十分想定可能なケースなのに認識が共有されていなかったことが悔やまれる

p.087 性風俗店勤務が知られると決まってトラブルになるので、バレないよう自分でしっかり管理
無理やり辞めさせられたり、怒ったパートナーが営業妨害を働くなどすると店は大損失なのは事実/しかしプライベートのパートナーに仕事を明かすなと要求するのはプライベートへの立ち入りそのものなので前段と矛盾している/ちなみに男性向けでそのような指示をされたことは一度もない/ただしパートナーや家族に明かしているか否か、明かさない場合なんという建前にしているかを店が把握しておくケースはよくある

p.092〜093 個人で性サービスを〜常に危険と隣り合わせだと断言できます
いわゆる直引きに関しては、店側が集客にかけたコストを無駄にされる行いであるというのは分かる/が、この文脈で店舗に属さないセックスワーカーたちを危険だからという理由で否定するのは筋違いであり、単なるワーカー間の分断になってしまっている/しかも無所属のセックスワーカーへの風当たりはひときわ強いという現状がある/後ろ盾のない無所属の女性が心配だと言いたいのであってもそれは全く別の話、言いっ放しの切り捨てにならぬよう配慮が必要では/店舗に属すにも属さないにも理由があり、その選択(もしくは選択の余地のなさ)は極めて個人的な事情である、直引きが迷惑だという話のついでに持ち出すべきではない

p.113 もし搾取していたなら〜マシな暮らしができていたでしょう
理不尽な言いがかりに悩まされたのだろうと思うが、搾取にあたるかどうかは使役する側の生活水準の程度とは関係がないので反証として不十分/風俗業界の使う側と使われる側(おのずと男性→女性となる)に存在してきた搾取を考えると経営者が男性というだけで警戒する気持ちも理解できる/ならば正当な反論をすれば良いし、明確な反証もできたはずだと思うが本書のカラーと合わず省かれたのか/性労働=すべて強制労働であり搾取と捉えた結果の働く人(経営者・スタッフ・キャストすべて含めて)への偏見は多いので、ある程度シビアに書いてもよかったのではと個人的には思った

p.118 双方が検査結果をオープンにすれば〜不安に駆られることもありません
p.118 「病気をうつされたらどうしよう」という不安をなくす手立ては用意できました
男性向けでここまでやれている店はまずないと思う(やろうとして失敗したところはあったか)ので、とてもうらやましいしこの文化がどうにか男性向けにも流れてこないかな〜などと思う(無理だろうな)/その上で、さらに一歩先のことになるが/検査結果が証明するのは検査日付近時点での状態であり利用日ではない/(HIVに関してはさらにタイムラグあり)/陰性の検査結果があるからといってSTIの心配が100%ないかのように言うのは正確でない、言い切ってはいけない/よってその「手立て」は手立てとして十分ではないしそもそも完全に可能性をなくすこと自体が不可能、そういうサービス内容で運営しているのだから/ならばうつしあわないように個人で出来る工夫にどういったものがあるか、それでもかかったときにはどう治療すればよいかを語ることはできないだろうか/それこそがSTI問題の本質、本来向き合うべきところではないのか/陽性だった場合どうフォローアップしているかを書いてもらえたらとてもよかったと思う/でなければ単にSTI=悪 という短絡的な認識を助長するだけ/と思ったら7年間1件も陽性が出ていないとのこと(すごい)/参考URL:[衛生対策について レズ風俗大阪レズ鑑賞クラブティアラ]/この先最初にSTIに感染するキャスト(続けていれば必ずいつかそれは出る)が罪悪感を持たずにすむように対応してほしいというお節介を強く感じる

p.129 外でもホテルでもスマホをバッグに入れておいてさえいただければ、キャストはもう何も心配することもなく
「え!?」と声が出そうになった/というのは、わたしの日頃の業務はこんなありさまだからです/(このブログ過去記事)[ざまあよりも楽しいこと(仕事中の盗撮被害について)]/女性向けのお店はおそらく加害行為の率が低いのだろうな、だからわたしたちほど警戒もしていないのかも、とは感じていたが、この一文で思い知らされた感がある/スマホにさえ気をつけていればよかった時代に戻りたくてたまらないというのに/いや、そんな時代はなかったか/この先男性向けで蔓延っているような行為が持ち込まれなければいいがと切に思う/しかしもしかしてこれが良からぬ人に手口のヒントを与えないための書き方であったなら…とすら思う、だとしたら申し訳ない[*2]

p.131 キャストも目の前で金額をあらためるようなことはしないそうです。それをやってしまうと現金の生々しさに、やはり雰囲気が損なわれます
「え!?」と今度は声が出た/同様のことは男性向けでも日常的にあるが絶対にいただいた時&帰る時の2度数えるよう言われるしわたしもそうしたい/わざとだろうとうっかりだろうと人間は数え間違いをする/そして雰囲気云々というのは故意に数え間違えた上で封筒の中をあらためさせない人物の常套句でもある/万が一現金に過不足があった場合すべて店が背負ってくれるのだろうか、そうでなければこんなこと言っていいものではない/「キャストのあいだに信頼関係ができて(原文ママ)」いるとあるが、そこへ店から乗っかってこられると困る[*3]/雰囲気を壊してはならない、客の機嫌を損ねてはならないというプレッシャーはキャストに必ずあるので、せめて店だけは取引の公平性の方を優先する立場でいてほしいというのに

p.132 一般的な男性風俗で「現金で支払うと、雰囲気が悪くなる」という話は聞いたことがない
前述の通り普通にあるよ/現金の手渡しをしたくないからと手数料がかかるにも関わらずクレジットカードしか使わない人や/クローゼットに封筒を忍ばせて「持ってってよ」などと言う人などもいる(目の前で金額を確認するのがルールのため非常に迷惑)/店と電話連絡する姿を見たくない、現金のやり取りをしたくないから銀行の個人口座に振り込ませてほしいという理由で直引きや月極の愛人契約を要求されることもよくある、まあこれは方便のことが多いかもね

p.133 これは男性向け風俗ではまったく見ない現象でしょう
決してよくあることではないが「まったく見ない」とはいえない/手作りのお菓子やお弁当を持ってこられて困惑したことは何度もある

p.134 キッチンがついたホテルを予約してキャストに手料理をふるまった
これがOKということはやはりすべてにおいて基本的にお客さんを相当信用するんだとわかった/かなりのギャップがあるのだ/男性向け(「客が差し入れた飲食物は口にするな、特に濃い色の飲み物に要警戒」といった話が周知の常識としてごく普通のテンションで語られる)で働いている自分の視点ではどうしても不安に感じてしまうので、なにごとも起こらなければいいがと思う

p.145〜146 ウチには“講習”がありません〜一般の男性向け風俗でも、新人への講習がないお店は多いそうです〜スタッフがキャストに行為を強いるケースもあるのだとか
p.175 “講習”と称して男性スタッフの相手をさせられるというお店もあるといいます
男性向けの店で不必要な実技講習を強いられるという問題は存在し、「趣味講習」と呼ばれる(本番行為までも強いるケースは本番講習と言ったりもする)/わたしも何度か被害にあったしぜったいゆるさん/が、男性スタッフが相手役を務めるものすべてが悪ではない/個人的にシャワー時に性器周りの特徴(病気や病気でないものの見た目)を観察しやすい体勢の取り方、男性器の洗い方、部位ごとにに具体的にどの程度の力加減に抑えるべきか、どさくさに紛れて挿入を目論まれたときに効果的な体勢などを習ったことは長年にわたり役に立っている[*4]/「お客様ひとりひとりによって違うため、絶対の正解がない」これは本当のことだとわたしも強く思う、しかし性的コミュニケーションに<絶対の正解>はなくとも<超高確率で間違い>はあるのだ/とくに性経験のまったくない女性などは自分に備わっていない身体の器官の扱い方が分からないのは当然なので講習があること自体が問題なのではないはず/講習はキャストと客双方の安全に関わる/(タマを揉んで責めろと言った客が力強く握られて大クレームとか聞いたことあるよ)/講習代わりの観賞コースがなかった時代に「性経験がない新人」を「事細かに書かない」マニュアルを読ませただけで客の前に出したエピソードを、「2時間後顔がシュッとしてたから大人になったようだ」などとまとめ、成長物語として読まされるのは気分の良いものではなかった

p.148 キャストはただの従業員でなく、お店を一緒に作っている同志
ここはちょっと驚いた/想う気持ちの話ではなく、「従業員」という言葉が出てきたことに/従業員であるなら、雇用保険・労災保険があるということで、もしそうならすごい/通常わたしたちは店と雇用契約を結んでいないので従業員ではない/たとえ従業員のような働き方をしている場合でも、労基法における労働者としての権利を持たされない/ケガでもすればそれまで、自己責任(治療費を経費計上することもできない)/が、仮に労基法を適用されるとそれはそれで非常に困る部分も出るため難しい/等の仕組みを店から明確に説明すらされていないことがほとんど/このあたりは既存の風俗業界の長年の大きくて複雑な課題であり、非常にデリケートな部分/法律関連は難しくわたしも正確な知識を持てていないが、「従業員」がセンシティブな言葉なのは確かなのでもし単なる働いている人という意味で使ったのなら温度差を感じる/だって著者がそのことを知らないはずはないから

p.162 「いつまでもあると思うなキャストと割引」
ほんっとーーーーーーーにそれ!!本当にいいこと言う!!全員刮目せよ!!!辞めた子を追っかける人まじでこわいものね!


全体を読んで、このお店が性風俗業界の中のひとつというより、あくまで別物、男性向けのそれとはまったく違う文化として線を引いたところで運営されているのかなと感じました。
本文中に「一般的な男性向け風俗」が登場することは何度かあるものの、私達はそれと違って、といった意味合いで使われるばかりなので。

レズっ娘倶楽部の成功を受けて、おっビジネスチャンスかも、男性向けと違ってまだ市場があるぞ! と思われ、ちょっとしたブームみたいなものが起こってもおかしくありません。新しいお店が出てくるとして、おそらくその時も女性が女性を接客するメリットとして「安全」をあげて、いかがわしいものとは違うので大丈夫ですよ、という言い方をすると思います(p013のように)。明るくやさしく朗らかに。

男性向け風俗業界には問題がたくさんある。ほとほといやになるほどです。上でわたしはこの本の感想を書いているつもりなのに、いつの間にか業界にある問題をたくさん紹介してしまっていますよね。とくに働く側にとって解決される見込みの薄い問題が山積みで、景気も良くなくて、未来に希望のある業界じゃない。そんなところに属したって大損こそすれどなんの得もない、と判断されても仕方ないし、著者のお店に、それどころかレズビアン風俗業界全体に多大な迷惑をかけている男性向け風俗店もすでに実際にあるわけです(p.174〜175)。

連帯してくれ、というのともちょっと違うし、いえる立場でもないし、既存の風俗の経営者がどんなふうに思っているかも分からないし、だいたいわたしも彼ら(既存の経営者たち)を信用しているかといわれると素直にうんと言えないし、あと売防法や風営法にしばられないという大きなアドバンテージもせっかくあるし、あちらとは違いますから路線のほうによほど利があるようにも思います。

でも——「あちらさんと違ってウチは清潔かつ安全ですから」と言われておくしか、引き合いに出されるしかないの?

女性向け風俗は確かに少し特殊な立ち位置にあると思いますが、働く人たちがセックスワーカーであることには変わりない。わたしがよーく見たことのあるような、理不尽な誹りを受けたり苦境に立たされることもあるでしょう。
既存の風俗に向けられる社会からの視線が厳しくそこで働く者たちがスティグマを負わされているままで、労働者としての権利が不十分なままで、女性向けの業種だけが免れて明るく堂々と発展していけるなんてこと、あり得るんでしょうか。
安全で清潔でキモくないから、いわば「準風俗」なんなら「名誉堅気」にしてあげましょう、という流れが起こらないとも言い切れないけど(この本を読んでそういう気持ちを持つ人もいるかもしれない)……万が一そうなったなら、レズビアン風俗はその扱いを受け入れるのでしょうか。受け入れざるを得ないかもしれない。それを責めることもできません、突っぱねろとは言えないです。

さて男性向け風俗には厳しすぎる現状もあれば、長い年月のあいだに積み重ねられたものもあります。夥しい数の実例から導き出された実用的なFAQがあります[*5]。まったく同じやり方でうまくいくわけではなくても、共通する部分はたくさんあるはずです。働いているキャストが脅かされ困ることも、仕事が充実しておもしろいなと感じることも、必ず似ている部分があるはず。
とくにキャストの安全を確保するための方法、そして及ばずトラブルになった時の方法はさらに共有されてほしい。ここはおそらく男性向けが格段にいろいろなHowToを持っています(それでもいたちごっこなところもあるけど)。たしかに女性のお客さんは数が少ないので広く受け入れる必要があるでしょうし、腕力にものを言わせて危険な行為に及ぶ率は男性に比べて低いでしょう。といっても、この先母数が増える可能性もあるし、人間同士にはどんなことも起こりうる。今ほどお客さんを信用してはやっていけない日も来るかもしれません。本書にも「相手が女性だからそんなに危なくはないだろう、というのは考えが甘い」「危険というのは身体的なものに限りません」としっかり書かれています(p.093)。

いま男性向けの業界にあるもので、女性向けが利用できるものはすべて利用してほしい。使えそうなものなんでも持っていってほしいと思います。だってせっかくあるのにもったいないでしょう。
だからできれば、「安全で清潔で精神的な癒しを得られる[*6]女性向け、危険で不潔で公序良俗に反する男性向け」といった対比を生む未来を避けてほしいし、逆に女性向けがなんとな〜くバカにされたり除け者にされるようなこともあっちゃいけない。必要に応じて互いにつながれるような舵取りがなされてほしい。そういうのって、雰囲気みたいなボンヤリしたもので決まっちゃうから誰かが何かをしてどうにかできるものじゃないのかもしれないし、心の隅っこでうっすらヤキモキするしかないんですけど。

それから、既存の風俗業界って、働き方によってうっすらとしたふしぎなヒエラルキー? みたいなものを着せられています。
本番あり/本番なし 脱ぎあり/脱ぎなし 抜きあり/抜きなし 高級店/激安店 みたいなジャンル分けによる階層といったらいいでしょうか(といってもこれが常に一定の方向を向いていなくて、複雑)。ここへさらに貧困がどうだのプロ意識がどうだの誇りを持って働いてるからどうだのこうだのと絡めて論じられ、無遠慮で無責任で気ままな飲み屋の雑談レベルから知的にかしこまったふうの書籍まで、分析とジャッジメントが日々下されている。自分に向けられたものでなくとも、感じ取ることは多々あります。

これを働く人が内面化してしまっていることがあり、「私はソープやるほど堕ちてないから」「オナクラ(基本的に手だけのサービス)みたいなハンパなことしてるやつに言われたくない」とか、書いてて胸が痛いけどそんな感じにいろいろ複雑なのです。
他人への意識だけじゃなくて、業種を移るにあたってひどく自分を責めてしまったりとか。そんなのめちゃめちゃ不毛すぎるし悲しいですよね、でも、完全に切り離されることは誰にもできない。それにあてはめることで自分の心を自分で支えてがんばるしかない時だってあると思うし、わるいのは着せてきた外野だし。

ここに「レズビアン風俗」が加わってひとつ階層が増える、そういう未来も十分起こりうると思うんです。
さっき書いたような、「準風俗」で「名誉堅気」の、そして「マイノリティ」というねじれた立ち位置に置かれてしまったとしたらと思うと、押し付けられるものはあまりにも重たい。だけど世間はそれをいともたやすくやるかもしれない。

もしそうなったら、ひときわ苛酷な分断が待っている気がするんですよ。

それ、ほんと無理。こわい。直接巻き込まれるのも、遠くからふと目にするのもいやです。うまく説明できないけど心がじりじりして泣きたくなる。

女性のための風俗が、目新しく面白い話題ってだけで終わらないで、すくすく育ったらいいなとは思います。でもできれば、こういうこといろいろ見知って勉強して考えてくれる人たちの手で育ててくれると嬉しいけど……それは難しいことだろう、ってあきらめるような気持ちもあります。近いようで遠い、だけど決して無関係ではいられない、つながったおなじ世界。女性向け風俗と男性向け風俗(この呼び分け方って不便で不十分でもっとなにかほしいと思うんだけどどうしていいかわからない)もそうだし、性風俗全般とそうじゃない場所だってそうなのにね。

はぁ、この先どうなんのかな。どうなっちゃうのかなぁ。
読み終わってそういう気持ちになりました。

追記(2020.9)

*1 60分3900円の店は現在サッと検索しただけでは見つからなかった/あと実際には料金の高い店って60分コース自体があんまりないけど一応こういう書き方にしました
ボリュームゾーンといってもものすごく幅広いものなのは確かだし、わたしも東京以外の相場を把握できてはいないと思う、それでも違和感があるということです

*2 ああいう記事をすでに書いていてこのブログの読者は読んでいるはずなので許してほしい…とかそんな風に考えてしばらくドキドキした、そのくらいギャップがあった

*3 羽振りの良い常連本指名(やや高価格帯の店で、長いコースで何度も呼ばれていた)にお金をちょろまかされた(彼自身が払ったお金を後でこっそり抜き取られた)ことがあります
お金に困っていたとは思えないので腹いせ(店で怒られて立場が悪くなることを期待、とか)の方がまだありえるけど、結局分からない
なんでそんなことを、と理解に苦しむようなことって普通に起こるんだよね

*4 この慣習がいまどれくらい残っているのか廃れているのか分からないけど(ふと気づけばベテランになっていたからです…)実技講習では店からキャストに報酬が支払われていた(1本分の仕事の最安値と同等かやや安い程度の金額だったかな)
講習中にうっかり(?)抜いてしまい多めの額をもらったりもした(特別な場合を除いて講習で射精するのは不名誉かつご法度とされていたが、経験の乏しいキャストには勃起しないと教えづらいこともそれなりにあるしフニャフニャだとただでさえ非常にナーバスな状態の新人からなけなしの自信を奪ってしまうため「全くそういう雰囲気じゃなくても必ずたたせられる能力」を買われた人物が抜擢され、そしたらめっぽう早い体質でもあった、っていう)
講習は店の利益につながるもので、その都合につき合って通常の仕事と同等の行為を行ったキャストには対価を支払うべきと解釈されていたか(射精そのものだけに価値があるってわけじゃないんですけどね)もしくは「抜くまでさせて無料ではさすがに今後やりづらいだろ…」ってことな気もします

望まれていないと知りながら裸になり、あれこれ説明しながら勃起を持続させねばならないかつ射精してはいけない、かように講習は精神的肉体的にハードで敬遠される仕事だと聞いた
実際にまともだった講習は地位が高くないスタッフから受けたことが多い(チクられたらボコられるってのもあるだろうけど)
一方ろくな指導もなく「ちょっと締まり具合を確認します、これは決まりですから(ニヤニヤ)」みたいなパターンはぜんぶそれなりの権力を持った人間だった、ぜったいゆるさん永遠に呪う

*5 といってもそれがワーカーの間で効率的に共有されていないという問題があるんだけど

*6 この「精神的な癒し」を期待されること、セールスされることの問題もすごく大切な話かつ深刻なんですが、あまりに大きいことなのでまた別の機会にします

余談が多くてすみません!

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