取材を受けた本が出ます

お久しぶりの方も、つながってる方もこんにちは。お知らせです。

きょう発売される本に、インタビューされた人として少しだけ登場しています。
SNSでも少し書いたのですが、せっかくなのでこちらでもうちょっと詳しく書いてみます。


人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと -藤谷千明 著|単行本|中央公論新社

離婚後、晴れて独身にもどった“わたし”(著者)。新たなパートナー作りに踏み出すも上手く行かず、手を伸ばしたのは“女性用風俗”。「すごくよかった」という興奮と「これは性的搾取ではないか」という後ろめたさが同時にやってくる。性的なことは親密な間柄でのみ行われると思っていたけれど、お金を払えばその「親密さ」を飛ばすことができた。じゃあ、さっきのわたしは何にお金を払ったんだろう。女性の性欲は本当に男性のそれと違うのか。女性の欲望が蔑ろにされている一方で男性の欲望は蔑まれていないか。他者を「書きたい」という欲望は危ういものなのか。正しさと欲望の間に横たわるものを見つめ、対話し、考える。セラピスト、オーナー、辞めた人……。著者が女性用風俗にかかわる人に取材しながら、自身の体験を綴る、渾身のルポエッセイ。


本文中に出てくる、わたしの運営する〝ライフハックブログ〞というのはこれです。

good luck,sweetie


取材を受けたものが世の中に出るのはたぶんこれが初めてです(名前だけ出たことは何回かあったかな)。

わたしは取材とか調査とかがすっごく苦手で、というか嫌いで、このブログでもたびたび「こういうのやめてほしい!」とプンスカしていたのを知っている人もいると思います。

  • プライバシーへの配慮なく声をかけてくる
  • 当事者の経験を「面白い話」として消費しようとしている
  • 「辛い体験を世に知らしめるチャンスですよ」という姿勢でいる
  • ごく基本的な知識がなく、その理由を「風俗なんて知らない世界だから」で済ませてしまう

みたいなのがね……いっぱいあるから。

今回お受けしたのは、藤谷さんがそれまでに書かれたものをウェブで読んだことがあったから、というのが大きいです。
女性用風俗がまだメディアで扱われ始めたばかりの頃、「どんなサービスがあるの?」「どんな女性が使うの?やっぱり生きづらさを抱えてるの?」といった切り口の記事が多かった中で、女性用風俗で働く男性セックスワーカーの労働問題について書かれていて。スキャンダラスにならないよう注意を払っていることが伝わってきて、それが記憶に残っていました。

リンクが切れちゃってるところもあるけどこれです。


で、たまにはいいかな、と。連絡をくださった担当編集者さんのお名前にも見覚えがあったので。
とはいえ、これまで避けてきたせいでインタビューにはまったく慣れておらず、実際には全然うまく話せませんでした。本の中では藤谷さんがきれいにまとめてくださっていて、あたかもちゃんとした大人がちゃんと話しているかのように見えるのですが、実際はそんなことはなかったです。ありがたい限りです。聞かれたことに答えるだけのことがあんなに難しいなんて!

わたしが話したのはだいたいこんなことで、そんなに深い話ではないです。あんまりこう、お客さんって……って言えることってないんですよね。いろいろだからね。傾向はあるとしてもね。

  • 親密に接客していても、お客さんが心で何を求めているかは分かるものではない
  • 自分の欲望のこと、あまり考えたことがないまま来ている人も多いような
  • それでも性的サービスは求められている

(本人のことでも意外と分からないままになっているんだな、というのは、働きながら長いあいだ日々感じていることでもあります。男性の欲望は大まかに「当然のもの」として扱われがちで、その中身について自分なりに言葉にする、というのは、まあしなくてもやっていける、ということかもしれません。しているタイプの人は、かなりしているんだけど。)

しかし実際のインタビューでは

「深夜のファミレスで近くに座った男性グループが大きな声でデリヘルの話を始め、中に一人だけいた未経験の人物が最初『俺は嫁を愛しているからお前らと違ってそんなもの必要ない』と大マウントをとっていたのに、徐々に主張がブレていき最終的に『お前らばっかりズルい!』とすねてしまった一部始終、ずっと聞こえていたこっちのテーブルは全員風俗嬢だったので『あいつが客として来たらやりそうなこと大喜利』が始まった話」

「客が目の前で大ケガをしたので救急車を呼ぼうとしたら大声でバッチバチにキレられ、絶対に納得いかなかったのですぐさま店に報告したが、ケガのディテールが痛そうすぎて全員意気消沈してしまい誰からも労ってもらえなかった話」

「お客さんに大きなタッパーいっぱいのポテトサラダを持って来られて怖かったが、そうだ向井秀徳のファンに違いない、それなら怖くない、と思ったらやっぱり違った話」

などで無駄に時間を費やしており、ご迷惑をおかけしたかと思いますがわたしは楽しかったです。えへへ。

2000円を超える本なので、迷う方もいると思います。わたし以外にたくさんの方たちのお話が読めるし、このテーマでこれだけ著者が“自分自身の話”として書いてあるものはなかなかないだろうと思うので、気になった方は本屋さんで手に取ってみてください。

(個人的には第4章が好きです。このへんのテーマを論じた既存の本を読んで「なんか……なんか変じゃない!?」となるところ。あそこは共感せずにいられないし、わかる人いっぱいいるはずだと思います。だって変なんだもの!)

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