タイマーにまつわる主に不満 -1-【キッチンタイマー】

働くわれわれの友達といえばこの人ですね。キッチンタイマー。
店舗型出張型、また業種問わずこれまで勤めた店の9割以上で、わたしの傍らにはいつも彼がいました。どこへ行ってなにをしていてもそばにいてくれる存在。
支給されなかった店は、10分前になるとスタッフから携帯に電話が来るというシステムで。出るまでかかってくる方式で、そうねえ安心といえば安心でした。でもさあ、終了何分前にアラームがほしいかって、女の子にもその時のお客さんにもよらない? 10分前じゃとても間に合わない、時間ピッタリに出られやしないことの方が、多くありませんか……。
10分前ってシャワー浴びてることがすごく多いし、シャワーまでたどりつく一歩手前、お酒など入ってなかなか反応しづらかった相手と今まさに最後の共同作業、もう猶予はない、次の波に乗れなければ敗北、だからふたり呼吸を合わせて、さあ……!!ってところだったりもするよね。タイマーなら無視できるけど(それでも音に反応してプレッシャーでしぼむ人だっている、めっちゃいる)電話に出るってちょっとハードル高かったです、わたしは。

だいたい『終了10分前』だけが突然分かってもしょうがないんだよ。
プレイの時間配分の目安にするだけでなく、お客さんにそろそろフィニッシュに向けた努力をと促す、従わない客に数字で現実を示して差し上げ説得する(これ重要!)、目の前でセットすることで時短をしていませんよと暗に表明していちゃもんを防止する、そういう役目もあるもんね。

携帯電話のアラームを使うよう言われた店もありました。それも店長が言うところのエレガントな音(プリセットのクラシックとか、オルゴールとか)を選ばないといけなくて、いちいち指導されていました。値段だけ見ると鼻血が出そうな高級店だったため、キッチンタイマーではせっかく高級感がウリなのに雰囲気が一気に俗っぽくなる、という店長の気持ちはわかります。でも俗っぽくたっていいじゃないのよう。俗なことするんだもの。辞める前に一度でいいからオフスプリングとかの着うたをゴリゴリに鳴らしてみたいなーと夢想しながら働いたものです。マキシマムザホルモンとか。その店(というよりも店長)は一事が万事そんなふうにズレていて、女の子が居着かずにすぐつぶれてしまいました。

遠くなってしまった昔、わたしが初めて勤めた店で使っていたのはこれです。あらなつかしい。そこは店舗型だったから特に気にしていませんでしたが、連れて歩くにはちょっとどっしりと大きすぎるんだ。電池がボタンではなく単4なのはいいですね。それがほんのり透けて見えてるこのダサ……個性を愛せるかどうかだと思う。でもいつまでも売られていてほしいとつい思ってしまいます。ピンクもあるよ。

こういうタイプしか支給してもらえないお店もありますね。この、分と秒のボタンしかないやつ。使えなくはないけれど、そのう、うるさい。何十回ピピピピピピピピ言わせたら気が済むというのか。ホテルヘルスなら百歩譲ってまだね、池袋のあのホテルや新宿のあのレンタルルームの玄関やエレベーターの中やドアの前でピピピピしてる女の子、風物詩のひとつともいえましょう。でも120分コースがちょいちょい出るようなデリでこのタイプ持たせる店はちょっとどうかしてるぜ。

さらにひどいパターン。

小さい。
小さすぎる。
実際にこれを支給してた店長は「だって〜女のコたちすぐなくすじゃ〜ん」って言ってましたけども、そりゃなくしますよこんな小さいの。愛着も持てないよ。
他にないの!?と女子一同でワーワー言った結果、しぶしぶ倉庫へ入って行ったスタッフが持ってきたのは……

いや……。いや、あの、いいんですよ、アナログ。壊れにくいし。電池切れという概念もないですし。エコだよエコ(こぶしを震わせながら)。
でもさー。動いてるあいだ中ずーっと、カチコチカチコチカチコチカチコチカチコチ音がするよね。制限時間内にいかせられないと爆発するんじゃないかって思うよね。そして満を持して鳴るときはじりりりりりりりりり!!!って言うよね。避難訓練みたいに。そう小刻みに震えながら。

わたしたちがほしいのは、ただの「普通の」キッチンタイマーなのに……。
かくして乙女たちは立ち上がった。

つづく。