Isodine there’s no heaven【イソジンうがい薬】

12月も下旬ですね。風の人の谷で働くみなさん、お元気ですか。
12月、それはとりあえずいちおうの繁忙期(昔はすごかったって言うよね〜)。そしてマナーを知らない(知ってても守る気ない)客人が増えてしまう魔の季節。デリヘルってデリバティブヘルの略なんですかね。そうとしか思えないときがありますよね。そう考えるとシティ○ヴンって罪深い名前ですね。口をこじ開けてイソジンの原液をだばだば流し込んでやりたいような相手にも微笑みながら働く年の瀬のわれらに幸あれ。わたしも例に漏れず既にそこそこ当てられているのでこの文章はいつにもまして変なテンションです。ついてこれる人だけ来てください。

そう、イソジン。きょうはイソジンの話です。渋谷新宿池袋、箱ヘルイメクラデリバリー、どの店に勤めていたときも必ずそこにはイソジンがありました。生まれ育った村を出るときに持たされる、初期装備アイテムのような存在でした。やくそう、せいすい、いそじん。

カバくんのイラストがついた純正品? であったり、持ち運ぶ用にスタッフさんが小さなボトルに詰め替えてくれたものであったり(キャップが劣化すると漏れ出して惨事を生みがち)、時にジェネリックらしきよく似た別モノ(味わいの違いで気づきがち)だったりしましたが、それでもわたしたちは「イソジン」と呼びます。茶色いうがい薬はみなイソジンなのです。

そのイソジンが先頃ちまたで話題になっており、なにごとかしらと思ったら「イソジン」ブランドを明治が手放す、というニュース[1]でした。
へえ。

それに伴って「イソジンは実は風邪の予防には効果がない?」といった議論が盛り上がっており、お医者様が書かれた記事[2]が多くリツイートされているのを見ました。そうしたらいろいろとよみがえる思い出があり、大変たいへん感情を刺激されるところがありましたので喋りたくなったのであるよ。聞いてくれないか。

あのね。知ってた。
イソジンの効果がどれほどのものなのかっていうのはわりと早くから気になってて、それが期待していた(もしくは店の人が安心しろと言ってきた)ほどには高くないんじゃないかって気持ちもぼやっと持っていて、いつの頃からか知っていました。

たぶん京都大学の研究[3]が有名で、それがたしか2000年代の半ばに世に出たものだったと思うんです。その研究結果に行き当たって、えー、ああ、そっか、そうなんだ。ってがっかりしたときの気持ちは覚えています。そして「細胞を傷つけるおそれ」というくだりを読んで以来規定より薄めに作るようになったよ。

でね、本題です。
時々いませんか? それを根拠に、イソジンでのうがいを拒否するお客さん。
「知ってる?これって百害あって一利なしなんだよ?科学的エビデンスは皆無なんだよね〜。ま、キミなんかは知らないだろうけど、ボクはご免だからそーゆーことで」と鼻で笑う人。わたしは何人か遭遇したことがあります。思い出してもため息が出るね!

できればしたくないな、と思う人はいるだろうなってわかります。決しておいしいものじゃないし、歯の着色汚れも気になりますよね。いかにも風俗店、って感じがしていたたまれなくなる、って人もきっといると思う。でも!!風俗店なんだよね。だからルールがあるというのに。わたしの今いる店は、シャワーの拒否(これもめちゃくちゃ多いよね!)とうがいの拒否は、暴力や盗撮や引き抜きと同じ禁止事項に指定されていて「サービスを中断して退室させていただきます」って明記してあるんだけど、あれお客さんたちは読んでいるのかいないのか、まあ……効力ないよね。
(お体の事情でヨードを避ける必要のある方[4]もいらっしゃいますがそれはまた別の話だし個別に相談してほしい)

イソジンの予防効果に期待していないわたしでも、お客さんにはイソジンを使ってもらいたいです。必要です。
なぜなら、お客さんの9割はお口が臭うから。
においがある、ということはもう、仕方のないことです、動物なんだもの。ぼくらはみんな生きているんだもの。
でも、生きているゆえの生き物のニオイ、を超えているものがとても多い。タバコやアルコールやにんにくのようなものだけでなく、温かい生ゴミのような臭い、虫歯や進行してしまった歯周病からくる臭いを発している人がとても多いのです。いくら生きているんだともだちなんだー[5]とか言ったって、親しき仲にも礼儀あり、わたしたちの精神力にも限界があります。なんなのかは分からないけれどおそらく何かの疾患からきているのか、アセトンのような刺激臭を感じる人もいますね(あれって鼻から空気を吸わないよう頑張っても、口の粘膜がヒリリと異常を察知してる気がしませんか。下水道に昔ながらの強い除光液を流したらきっとあんな臭いになると思う)。

正直イソジンだって、身体そのものや食べ物からくる軽めの臭いで30分〜40分くらいかな、それ以上の強い口臭には気休め程度の効果、つまり限りなく無です。でも、ないよりはずっとまし。気休めでいい、気休めがほしい。

歯磨きではダメなんです。
時々、「臭ったら失礼だからね!」とわざわざアピールしてから目の前で歯を磨いてくださる方がいますが、あれは嬉しいものではありません。歯を磨いた直後は粘膜が傷だらけだとききますし、それどころかそっと横目で見ていると紅に染まった歯ブラシを慌てて水で流したりしているではありませんか。心配です。血液の前では誰もみな無力な生体です。
生魚が入っていたトレイの隅に残った赤い水のような臭いを出す口から恩着せがましい宣言を発するとともにガシュガシュと歯を磨いたお客さんが口をすすいだその時、食べかすの混ざった真っ赤な水が洗面台にブウェァと吐き出された、その光景を目撃したわたしの気持ちを想像してみてください。いかがですか? 無料のホラー映画体験ですね。お得でしたね[6]
(なのに当然のようにしゃぶりついてこじ開けようとしてきたので口を開けられずにいたところ、ばつの悪そうな顔でイヤ別にわかってるよそのくらい僕は衛生観念あるからね〜、とかなんとか、閉ざされた唇に向かい叫び続けて[7]おられました。えっ分かってるんじゃん!)

リステリンの方がよいのでは、と思ったこともありました。
しかし「メントールの香りと隠しきれない何かとの地獄のコラボ」にしかならないことの方が多い。リステリンしっぱなしなら少しはマシなんでしょうか? でもそうはできないのです。だって丁寧に口をすすいでもらってさらに唇の周りも拭き取ってあげないと、あとでデリケートな部分の粘膜を舐められたときにデリバティブヘルを見るのは自分ですからね。あれ、泣くよね。

というわけで、低コストでそれなりの効果が得られるイソジンを上回る方法はいまのところ見つかっていません。早急な開発が待たれる。
あからさまに嫌そうな顔をされた場合も決してひるまず、恐れることなく進みたいものです。気付かなかったふりをしてまず自分の口に含み、思わせぶりな表情で相手の目を見つめたままそっと首に手を回し小首をかしげて瞳を潤ませうっとりと唇をねだってみます。そして口移しのあとはもう一拍だけ目を見て、そのあとわるい秘密を共有したかのように可愛らしくまたはにくらしく笑ってあげましょう。これ系統の対処法、単純にニーズにうまくハマって喜ばれれば嬉しいですし、(気弱な素人新人だったら「こういうものなんだよ」でどうにかしてや〜ろうっと♪)と夢見ている系のアレな客を「あたしスレてますんであしからず♡(悪さをしなければちゃんとサービスするのだから、マナーを守った方がお得ですよ)」と和やかにけん制できる利点もあるかと思います。

 

店を通じてわたしのサービスを買う。ということは、わたしが所属する店のルールに乗っかる、ということだと思うんですよ。
店の名前を冠した電話番号にかけて、この店の中だけで通じるわたしの名を呼んだのでしょう?だったら、あらかじめ店が示している簡単なルールには従うのが筋なんじゃないんですかね?
たかがうがい薬でルールだなんて、じゃないんですよね。一事が万事です。だって、ルールしかないじゃない、わたしたちを守ってくれるものなんて。いや、守られています!って堂々と言えるような安心感は残念ながら全然ないけれど、それでも店のルールに頼るしかないじゃないねえ。そのか細いロープのために、お客さんが払ってくれた金額の実に半分近くをお店に渡しているのでありますよ。

最初のお約束を守ってね、乱暴しないでね、お金や物を盗まないでね、清潔にしてね、写真撮らないでね、痛いと言ったら止めてね、私生活を邪魔しないでね。
ぜんぶぜんぶ本当は当たり前のことです。これらは必ずしもコンパニオンからお客様への要求なだけではなく、双方が守るべきことですよね(ここテストに出ます)。ふたりの人間が一緒にいるために、お互いに当たり前のことばかり。だけどわざわざ言葉にして掲示して「悪質な場合は警察を呼びますよ」と言ってある。そのルールの下で、わたしたちは働いています。

そ〜れ〜を〜いま来たばかりの自分のさじ加減ひとつで、気分次第の言葉ひとつでどうにでもできる、言いなりにできると思って疑わないのはなんでなんだぜ。
その「だって俺は客だよ?」という無邪気な傲慢さに、わたしはしばしば失望します。あなた以外も全員客だよ、客のためにあるルールだよ、と思いながら。

「決まりなのは知ってる。でもいいでしょ」という人はますますタチが悪いですね(という言葉を使うたびに「あっ性的能力の話ではなく」と言いそうになる)。
「ダメなのは知ってるよ、でも俺だったらいいでしょ?」「俺のこと好きじゃないの?」
店のシステムを利用して出会っておきながら、個人対個人の愛やら情やら信頼の話にすり替えてあたかもこちらの冷たさのように言われるのって、嫌ですよね。個人的な信頼関係が、自分だけは何もしなくても丁寧に差し出されると信じるのはさすがに幼いよ。

店の存在を忘れたいこともあるかもしれない。店のルールの中には、面白くないものもあるかもしれない。でも、だめなんです。「こっちは客だから」という理由でルールを無効にはできません。あたかも無効にできて当然のような言動は、わたしたちの気力をじわりじわりと奪います。だって、それは取りも直さず「おまえを生かすも殺すもこちらの機嫌次第です」という態度の宣言につながるから。圧倒的体格差と密室の中で行われるそれは、時に緩やかな暴力といってもいいほどのものに容易くなりえます(「あんまり俺を怒らせない方がいいよ」となれば既に脅迫だと、誰にもすんなりわかるでしょう)。
暴力だなんて、そんな極端なものと一緒にしないでほしい、と思うかもしれませんね。だけど「極端な」暴力をぶつけようとしてきた人々も、初めのサインはこういう言動だったりしてきた経験があるのですよ、わたしたちは。怯えるな嫌うな身構えるな、というのは無理な話。顔に出さないでいるだけで十分ですよう。

客である、とはそういうことだと思うのです。客を名乗るなら、客という立場の持つ権力を忘れずに正しく使ってほしいものです。それがそのまま、お客さんの楽しさや充足につながっているのだから。それこそがお互いの求めている結末のはずだから。

図々しさって強いですよね。心の耳を力一杯塞いで気を強く持たないと、屈してしまいそうになる。どうかこれを読んでいる人が、図々しさや傲慢や無邪気や勢いや狡猾さや大人の幼さに、できる限り傷つけられませんように。

いつも願っています。品川にあるホテルの小さな電球に、新宿にあるホテルの丸い花壇に、汐留にあるホテルの並んだ楕円形の鏡に。わたしが通り過ぎながら願ったこのしょうもないおまじないが、あとから通る誰かを守ってくれますように、って。
忙しく慌ただしく気合いの入る時期ですが、迷惑は少しでも少なくすんで良い出会いがたくさんありますように。どうぞご無事でお稼ぎくださいませ♡♡

 

  1. イソジン®製品に関するムンディファーマへの製造販売承認移管のお知らせ(Meiji Seika ファルマプレスリリース)
  2. 無意味なヨード系うがい薬 – 野口内科 BLOG 
  3. 健康コラム | 京都大学環境安全保健機構 健康管理部門/健康科学センター
  4. おひとりだけ経験があります。ヨードを含まないうがい薬を持参して、受付にも事前に相談してくれました。きちんとしてくれたので良い思い出として残っているなあ。
  5. ザ・童謡ポップス(3)夏のうた集/Hello!Project
    保田圭ちゃんたちがうたう「手のひらを太陽に」が聴けます
  6. わたしの友人が、お子さんが怖い夢を見てしまった時「ホラー映画の日だったんだね」と言ってなぐさめてあげていたのがとても素敵だなと思ったのでした。
  7. 紅に染まったこのオレオ……いちご味の3製品が登場 |ASCII.jp

ベッドサイドの碓氷峠【ヘアクリップ】

忘れ物は得意ですか? わたしは得意です。トトロが実在したらわたしの家と森を往復し続けてクタクタになることでしょう、かわいそうに。これまで数々の忘れ物を、ホテルやらお客さん宅やら待機室やらにおいてきました。中でも忘れがちなのが髪留めです。ぶっちぎりのダントツで髪留めが優勝です。いったいいままでいくつなくしてきたんでしょうか。
ああ、考えると落ち込んでしまいます。
どうせ消耗品だと割り切って100円ショップで買うこともあるんだけど、なんか、開け閉めの感触とか、留まる瞬間の感覚とか、あとバネの部分がサビてくる早さがやっぱり違うような気がしてしまう。ので、500円から1000円くらいのものを使うことが多いです。

シャワーを浴び終えてベッドに戻ってきて、まあその時々でいろいろですけど横になる前に外しますよね。んでベッドのそのへんに置くんですね。「そのへん」としか言いようのないエリアに。これがあらゆる小物を飲み込む魔性の「そのへん」なんですよ。
それでどーたらこーたらがあって、またシャワーに行くときにつければいいんですが、というか濡れるんだからつけたいんですが、諸事情で手が汚れていることがあるよね、ていうか汚れてるよね。わたしはよほどの大迷惑ヤロウでなければ唾液や汗あたりまではセーフにカウントしちゃう(嫌だよ?嫌だけどね?)んだけど、唾液と涙と汗以外の体液やローションがべっとりついていたら髪は触れない。

だから、両手とも汚れているんだけど、なのにもうありえないほど時間がない!!
……ってとき、タオルの端っこの端っこをつまみあげなんとなく二の腕の加減で身体に沿わせてシャワーに行き、もう毛先濡れてもどうでもいいわいと半ばヤケになってそのまま浴びちゃって、それをやっちゃうとよく髪留め忘れる……。

タオルをボワッと(畳んでなんかいられない)置いて、手を洗って、のろのろしている客(どんなに時間がないと伝えても急がぬこと山のごとしな人っていません?)を心の苛立ちを悟られないように洗って拭いて、自分の身体を超特急で洗って若干水滴が残ってるのもかまわずバーッと戻ってきて、そしたらもう「ちょっちょっあたしのパンツどこに脱がしたよ!?」でアタマの中いっぱいじゃないですか。はるか昔にベッドサイドの「そのへん」に置いた髪留めのことなんて忘却です忘却。

それでも最後の最後にお部屋を見渡す余裕があればよいのですが、視界を遮るかのように立ちはだかってベタベタと抱擁を求める人や何度も何度も「お時間ですので」と申し上げているにも関わらず「あと何分〜?」とすっとぼけやがってなおも身体をまさぐってくる人やメールアドレスもしくはLINEのIDを言わねば帰さぬ!この砦は開かぬ!!と息巻く人を宥めるという最後のお仕事にかかりっきりにならざるを得ないことも……あるし……。

(ていうかこれうちの店がもっとタオルを潤沢に支給してくれれば解決する話なんだけど、荷物が大きいのは美しくないとかふざけたこと言ってあまり持たせてくれないんだな、タオル入るバッグ買い換えるのがめんどいって言いなよ。素直になれよハハン)
(あと最初から髪をまとめた状態でプレイできればよさそうだけど、お客さんって、なんか……髪を下ろしてほしがりませんか?多少振り乱してほしかったり、自分の指で梳いたり撫でたかったり、髪をほどく仕草を見たかったり、いろいろあるんだと思う)(自分の体液がべったりついた手で撫でてくるやつ大晦日に虫歯痛くなれ)

だいたいはドアを閉めた瞬間、またはエレベーターに乗るあたりで、あっ!!って思いつくんです。あっあれ入れた記憶ない!わすれた!!って。でも、現金でない限り取りには戻れないよね。
なんていうか……せっかくこの数十分間に費やしたあれやこれや、戸惑いや遠慮や苦悩、演技、さまざまな感情さまざまな労働を箱に入れて封をして、時にはムカつきやみじめさも水に流して最高の笑顔作ってドアを閉めたわけだよ。最後のページに震える手で『 – 完 – 』と記したもんは覆しちゃなんねえってもんよ。なあ。震える気持ちがよみがえって江戸の人みたいになっちまったよ。
まあ、別に顔を見たくない相手ばかりってわけじゃないけど、お客さんにとっても戻ってこられるのは負担だろうし、また来て欲しい相手ほどきれいに終わりたい。つまり忘れ物もしちゃダメ!ダメだぞ!

と、何年も思ってます。思ってはいます。いますよ。

 

はじめて勤めた店では先輩女子たちはみんなくちばし型を持っていました。これをナイロンバッグの側面に止めていた。そのデザインによって誰のバッグか識別できるという機能も兼ね備える優れたシステムでした。
くちばしクリップの最大のメリットはいざというとき武器になることかもしれません。

出身地が商品名になってるシリーズ。わたしはどちらも持ってます。普通〜やや多めくらいの毛量のひとならフランスで十分とまると思うんだけど、ドイツクリップにはなんとも形容しがたい他にないホールド感があり、このギャシィッ!!と掴まれる感触がハマる人にはたまらないのではないだろうか。
レビューにある通り、ドイツちゃんはツメの先の造形がマイルドではないので、無造作にとめようとして頭皮にぶつかると痛いです。

留まったときのカタチのかわいさでいったらこれかなあ。クルクルッとまとめて適当に挟むだけでちゃんと留まるのもえらい。おだんごが作れない長さと量の人は厳しい(たぶん全然留まらない)と思います。あと弱いです。2回落としたら寿命が尽きます(めっちゃ割れやすい)。

この価格帯の実用重視で目立たないクリップでは、個人的にはこれがいちばん好きです。これはだいたい10cmくらいで、7cmくらいのSサイズもあるよ。池袋駅のハックエクスプレス(ドラッグストア)で売ってて、西口で働いてたころよく買っていました。予備に同じものをいくつもいくつも買っておくことで心の平穏を得ていた。健気だったな……。。

 

能はなくても爪は塗る【秋色ネイルエナメル】

もうだいぶ昔の話ですが、学園系イメクラを辞めたとき何が嬉しかったって、ネイルができる! ってことでした。
いや、いいんですけど、別にネイルくらい塗ってたって誰に文句を言わせるものかって感じなんですけど、わたしが当時勤めていた店は、なんといっていいか……わりと本気(と書いてガチと読む感じ)の店で。選べる制服の種類とその生地感からしてそこらのヘルスがオプションでつけてるドンキのコスプレとは格が違うんだよ、という気概を感じましたし、もはやどこで購入できるのかすら分からない古めかしいブルマやスーパールーズソックスも揃っていました。

たしか料金も若干高めだったと思います(お給料は別に高くなかったのでどうでもよい)。そんなこだわりを持って運営されている店にこだわりをお持ちのお客様たちが集い、まあちょっとしたことでクレームが来てしまう厳しい環境だったのです。

髪の色などはもちろん暗くなくてはいけませんし、パーマもいい顔をされませんでした(男性の目で見て区別のつかないボディパーマのようなくせ毛風ゆるウェーブは可)。
下着の色もうるさかった。ピアスもだめでした。地方のおとなしい学校だって、こっそりピアス開けてる子なんて普通にいるでしょうに。

髪の色はもともと暗くしていましたし(根元のリタッチをちょっとサボってもバレないし?)下着の色は薄い明るい方が好きだったので(安くても色落ちが目立たないし?)管理される、ということの煩わしさになんとかどうにか目をつぶってコツコツ働いていましたが……だが!!!ネイルは。ネイルだけは。話が別だ。ストーンやスタッズを付けさせろとは言わない、せめて好きな色を塗らせてくれ。

透明かごく薄い透明ピンクのみ可。だって女学生(という呼び名がすでに)が爪になにか塗ってたらおかしいでしょう?と説教する店長に向かって、女の子は全員思っていたことでしょう。いや別におかしくねえよ、と。
クレームになるのは嫌なものなので、働いてる間はそれなりに守ってたけどね……。きっとその店での「女学生」というのは、東京の街にそっくりだけれどどこでもない、心の中のユートピアのようなまぼろしの街の少女たちだったのでしょう。

しばらくして店を去り、ちょうど秋だったのかな、ボルドーとゴールドのネイルにしたときに「ああ、自由になった」と噛みしめたものでした。では個人的に好きな10月的ネイルを紹介するよ!

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左から
OPI C89  CHOCOLATE MOOSE
ZOYA ZP182  MERCEDES
ORLY 48632  チョコレートマティーニ

ZOYAはパール、ORLYは極小のラメ入り(メタリックなパールと言ったらいいのか)でトップコートは塗ってません。
一時期ミルキーだらけだったネイルのトレンドがラメの復権に向かいつつあるような気がするので(完全に気のせいのおそれあり)、光り物好きのわたしはせっせと塗ってるこのORLYの色なんですけどミニサイズ(5.3ml)にしかないんだよ……なんでだよ……使い切りサイズは嬉しいけどブラシが小さくて足の親指とかつらい。そう、この3色はペディキュアにしてもすごくかわいいのです。
ちょっと地味?だったりしたらギラギラのザリザリのラメラインとか引いてもいいし、あとスタッズがとにかく映えます。☆の形のゴールドラメなどちりばめれば一気にキュート路線。メタリックな細テープもいですね。ブルーベースの人はシルバーネイルの中にこんな光るレッドブラウンをアクセントにしてもかっこいいのではないか。夢が広がりんぐですね。

OPIはジェルネイルの上から塗ってもきれいに乗ってしかもめったなことで剥げないのでえらいです。

ところで、学園系を脱出したわたしでしたが次に勤めた店では店長が勝手に「昼間は比較的お堅い会社に勤めるまじめなOLです」などという設定にしてしまったため、結局地味なネイルしかできない日々が待っていました。薄いピンクベージュとは忍耐の色である。