きらくなはなし

【読んだ思い出】誰も懲りない/中村珍

感想ともいえないような「読んだ思い出」程度のおぼえがき。なのでネタバレはありません。

寝る前に読むのに適した話じゃなかったかもしれない、と思いながら寝る前にベッドで読んだ。
目を覆いたくなるような受難が描かれてる話って、どうしても内容紹介に「壮絶な」とかついてくるし、そうすると物語の本文よりもその「壮絶な」ってところが何もかもを喋らされるというか、とにかく壮絶な話なんですよってことが大事なことになっちゃってる売り文句をつけられがちだなあ、と思うことがある。
そういう売り文句とセットで世に出されてしまうのはその方が売れるからなのだろうけど、「ほらこんなに壮絶だよ!」って売られるさまや、「これしきの壮絶で感動するかばーか!」って受け取られているさまを見るとなんだかしらける。たいていの著者は壮絶くらべにエントリーするため本を著したわけではないと思うから。
『誰も懲りない』はそういう目にあわないといいな、知ってる範囲内ではあんまりあってなくてよかったな、って思いながら読んだ。

江國香織に「流しのしたの骨」という作品があってわたしは好きなんだけど、途中から頭の片隅で「流しのしたの骨」のことをぼんやり思いながら読み進めていた。
みんなで感想を書くサイトとかでは「ほっこりしました」「家族とはこうあるべきだと思いました」なんて言われてることも多いけれど、でも家族、家庭というものの閉鎖性や独自性を相当シビアに書きあらわした作品だと思う。家庭のことって、何が普通で何が普通じゃないとか、どこまでが正常でどこからは異常だとかそんなことこの世のだれにも言えやしないよね、ははん、って。江國香織はその本についてのインタビューか何かで「よその家というものは、たとえお隣であろうとも海外よりも遠い」みたいなことを言っていた。
家族というものも、そこで培われる個人とその価値観も、人が無邪気にぼんやりイメージするよりずっとグロテスクだし残酷なものだ。ほんとうはみんなそのことを知っている。温もりも安らぎも、そのグロテスクなものの中に息づいている。

読み終わって、これといった感想を言葉にまとめられないまま眠ったら著者が夢に出てきた。
珍ちゃん(と夢の中で呼んでいた)とわたしは他に誰もいない大きな家に軟禁されていた。誰に閉じこめられているのかは分からなくて、ただその家にはどこにも窓やドアがないのだった。
珍ちゃんはダイニングのテーブルに紙をひろげ、ペン一本でいろいろな食べ物の絵を描いた。そうするとまるで子供が夢見る魔法のように、絵の中の食べ物は実物に変わる。もちろん上手に描いてくれるから生まれる食べ物のクオリティも高く、なのでわたしたちは飢えずにすんだ。
ところが厄介なことに珍ちゃんの魔法の手は、出来上がった食べ物に触れるとたちまち腐らせてしまうという力も同時に備わっていた。しょうがないのでわたしが食べさせてあげた。「一口のサイズがなんか合わないんだよねー」と言われながら。
ときどきささいなことでケンカをすると、珍ちゃんは「もうマクドナルドしか描かないから!!」と言って、つぎつぎにハンバーガーを描いては出した(わたしがハンバーガーを苦手なことは現実と同じだった)。得意そうに「いぇーいムッダーナ!!」とはしゃいでみせる珍ちゃんは、とても憎たらしくて最高に可愛らしかった。最後は雪だるまの絵をたくさん描いてくれて、わたしが機嫌を直したところで夢は終わった。

ムッダーナのくだりは、以前わたしが現実の世界で中村珍さんとお喋りしたときに「マクドナルドのことムッダーナって呼ぶと偉そうで愉快だね」みたいな他愛ない話をしたので、そこからの引用だと思う。楽しかったので覚えている。雪だるまの絵は『誰も懲りない』本編の、登志子さんが学校を辞めたあたりに出てくる雪だるまのことをわたしはひと目でたいへんに気に入ったので、それでだと思う。

目が覚めて、ああわたしのものさしは珍さんのこと好きなんだな、と納得した。

あと、どうしても途中で「LUNA SEAの河村隆一が上原多香子のソロをプロデュースしたことがあった」という忘れきっていた記憶が甦ってきたよね。これはしょうがないよね。

2014-03-19 | カテゴリ: きらくなはなし | タグ:  

 

2月に読んだ本のメモ

最近買った本をかんたんにメモ。内容には触れません。ネタバレないはず。
椎名家には「カバーのかかっていない書籍は共有財産であり、押しつけがましくテーブルの上に置いておいてよいし購入者にことわることなく読んでもよい」「どんなに短くても感想を言い合って読了とする」という謎のローカル文化?がいつからかあるため、マミさん(椎名の戸籍上の母親。みたらし団子と嵐の大野くんを好む)の感想も一緒に書いておきます。


繊細で可愛くて、愛にあふれたキラキラしてる本!
ああ、並々ならぬ思い入れとともにこの世に送り出された作品なんだなあ、という感じがひしひしと伝わってくる、ちらりと見ただけでも。ノンブルの隣にも小さな絵が添えられてたりするんだよ。
読み終わるにはけっこう長い時間がかかった。内容が難解なわけじゃなくて、なんて言ったらいいんだろうね、絵なの。中身のページひとつひとつが。だから、コマを目で追うんじゃなくて、絵を一枚ずつ見入る感じになって。でも漫画を読み慣れている、読める人にはなんなくできることなのかもしれない。わたしは漫画を読むこと自体がとても不得手(コマや吹き出しをどの順番で読めばいいのかを常に迷っているような状態)で、慣れてない方なんだけど、そのせいか一歩ずつ足元を周囲を確かめながら読み進めていく感じだった。細かく書き込まれたひとつひとつがため息出ちゃう感じ。収録されているのは5編なんだけど、うんと長い物語の中にいたみたいだった。
「不得手」とか言いつつもいつになくご機嫌で買った理由は、作者のともさくらさんのお身内がわたしの友だち、というご縁。その友だちのことまでも眩しく輝いて見えます。よくぞ先生を支えてくださった。そんな気分に。

マミさんのコメント「思ったより難しかった。見るとこいっぱいあるねー。なんか映画みたい。この、なんの説明もなく<外国、たぶんフランス>って自然に、特に屋内の絵でわからせるの、すごいよね。絵描きさんってすごい。この本が最初は真っ白いただの紙なんだもんね。信じられないわ!」
「これは雑誌で連載してたの?」(そうですよ)「りぼんとか?」(あなたりぼんしか知らないんでしょう!OPERAっていうBLのコミック誌だよ)「BL?ボーイズ?……あ、そうかみんな男の人の話だね。言われてみれば。こぐまの子はどんな恋をするのかしらね」
「これが初めての本なの?」(そうだよ。まだうんと若い方だよ)「すごいわねえ。立派ねえ。でも、もっとこう描きたいんだ……って理想とかじれったさもご本人にはあるんじゃないかしら。先が楽しみね」


うおおおおおおお!んああああ!いやだいやだいやだ。怖いよう怖いよう。こわい!でも読んじゃう!いや!でも読んじゃう!これもあれも伏線!?読み返したい……でもダメ!止まんない!あああ一気読みしちゃうううう!!
……そして後味は最悪です。ぼう然とするしかない。
なのに、なんだろう、この、脳みそが満足しているこの感じ——!!!
わたし、ページをめくるのはまあまあ速い方だと思うんだけど、これは速読っぽくパッパッパッて読み方ではなくしっかりきっちり読んでもなおすらすらと読み終わった。それはね、引っ掛かりがないんです、文章に。立ち止まらなくていいの。勝手に連れて行ってもらえるの。するするすると滑らかに読めるの。変な日本語だけど。
登場人物の台詞は必ずしもリアリティ一辺倒じゃなくちょっと舞台っぽい書き方をしてあって、でもなんだかそれがいいの。現実にその年頃の女の人が喋っている言葉そのままを文字にしたら、ぴりりとしないというか……たぶんこんな風には気持ちよく読めないんじゃないかなと思った。
男性の作者が女性の日常を書くものを読むと、作中のおしゃべりの話題や登場するブランド名などの選定が大変だったのでは、などと野暮な勘繰りをしてしまいますが、それも大丈夫。指が止まるような「えー……」と思わせるようなズレはない。なんかさーあるじゃん、それはさすがにヘンだよって言いたくなる案件。キャンメイクとブルジョワとエリザベスアーデン、みたいな並び方してたり、ひどいとLANCOMEのことランコームって書いてたりとかそういう台無しがっかり案件!
なによりも不思議なのは(作者の井上剛さんとは何度かお話させていただいたことがあるのですが)、あんなに優しくてユーモアにあふれた井上さんのどこからこんな緻密な残酷さが紡ぎ出されるのかということです。それが、作家ということ、なんですね。さすがですとしか言えない。ひれ伏すしかありません。

マミさんのコメント「ひさしぶりに一気読みした……どうにも止まらなかった……なんなの……なんなのこれ……」
「10ページくらい読んだところで、あっこれだめだ、途中で閉じることは許されないやつだ、と思って慌てて意を決してしおり挟んでコーヒー入れた。そんで厳かに腹を括って読み始めた。読み終わったらコーヒーそのまんま冷たくなってた」
「女同士の嫌な類の他愛ない井戸端感?その底板めくったところにあるおっかないもの、よくここまで書けるね?しつこいくらいよく書けてるよね。男のどうしようもなさもちゃんと書けてるしもう勘弁してほしい。ああやだ。ああやだもう。なんなのこれ……」


待ちに待ったアヴァール!大好きな珍ちゃんのアヴァール!本当に数少ない「わたしの好きなマンガ」といえる存在。これでおしまいなのは残念だけど、これからもことあるごとに読み返すと思う。お金の話を誠実に真摯に、でも楽しくできるような大人にわたしもなりたいものです。
交際しているわけでもない相手からあんな風に「仕事を辞めてくれ」とお願いをされて困ってしまう、というシチュエーションはわたしも身に覚えがあり、くぅぅ……と思いながら読みました(断る理由は同じではないにせよ)。あと「キャミ」という言葉を使っていきたい。
マミさんのコメント「おおお……おおおおお(60ページを読んで悶絶、のち大笑い)おっしゃる通りでございます!ぐうの音も出ないぜ!!!!」
「珍さんって、きっととても真面目な子なのね、そしてちょっぴり、照れ屋さんかもね」
「中村珍、って、本名?」(ちがうよーそれはさすがに!)「あ、そか。でも可愛いじゃない、ちんちゃん、って。これから流行るかもよ」
「(本を閉じ)ん?……この表紙……表紙だけはちゃんとしたフリしてなかったっけ2巻までは!?うふふ!」

2014-02-24 | カテゴリ: きらくなはなし | タグ:  

 

あのゲームまだやってんの?

「ところで椎名さんモンハンまだやってるんですか?」
と聞かれるたびに申し訳ない気持ちでいっぱいです。すみません。
だいたいそうですね、テツカブラ前後で挫折しました。思ったより早くてびっくりしたでしょう今。いいんですよ正直に言っても。

もともと現代のテクノロジーに適応できていない仕様のわたしは3D酔いを得意としており、どうにか薄目を開けて連続してプレイできるのがだいたい20分、よくがんばって30分というところだったのですが、テツカブラあたりから30分では何もできなくなり。
同じころ青いクマの衣装を一式揃えたのでそれに達成感を得てしまったことも後押しとなりました。また同じころどうにもこうにもやる気のないしょぼくれた人ばかりの村にうっかりとやる気を授けてしまったショックもありました。あの人たちの夢も希望もなさっぷりに共感しまくってたのに!!
そんなこんなでわたしの狩猟生活は緩やかに終わりを迎えたのです。眩暈とともに。

あの村のしょぼくれかげん、ため息かげん、本当に好きだったのに。晴れて人間らしい希望がみなぎったその村にはもうわたしの居場所はありませんでした。

今はときどき思い出したら電源を入れて、キノコ狩りをしておうちに帰って電源を切っています。キノコ狩りはいいですよ。薄目でもできるから。

「ところでこゆりんはまだときレスやってるの?」
これも聞かれます。100%挫折しただろうというニュアンス含みで聞かれます。

ところが続いてるんだな。熱心にやってはいないのですが、一応続いています。レベルは今92です。同じ時期から始めた人の中ではだいぶ低いと思われますし、店の面積もいまだ6×6です。でも一応続けています。
だって、フレンドのみんながかわいいんだもん……。
だってだって、夏には暑いねと言い合い、冬には寒いねと言い合い、ゲームの中のストーブなのに「暖まっていってね」と言い、今日はなにいろの椅子に座った? とか、クエストえげつないねえ! とかテレビってこれかよおぉぉぉお!! とか叫んでみたりするんですよ(厳しいクエストを乗り越えれば限定アイテムのテレビが手に入るということでがんばったものの、いざ配布されてみたらそのテレビのビジュアルがちゃch……いや、シンプルでコンパクトで素っ気なくて一同大ショック事件)。

言い合う、と書いてはみたもののときレスのフレンド機能って別に双方向で会話できるようにはなってないんだよ。STORYシリーズみたいにメッセージボードもないし、相手が自分の店に遊びに来た時にごく短いメッセージを掲げられるくらいなんだよ。なのにみんな工夫を凝らしていろいろ書いてて、その向こう側にいる女の子を想像するとわたしはとても辞められないわけです。アイドルはおまけ。日本のどこかでスマホを握りしめているかわいい女の子たちを想って遊ぶゲームです。
実際のその人が女の子でなくたっていいんです。あのゲームの中でエプロンつけて懸命に刺身を盛っている限り全員乙女ですから。

 

その他最近たのしかったiPhoneのゲームアプリ

最初はツイッターでステキなお嬢さんが「クマトモ」をあそんでいるのがうらやましくてそちらを始めたんですけど、気づいたらついでにDLしたおじさんに夢中でした。おじさんはかわいらしく、あぶなっかしく、健気です。難を言えばきょう現在とっくにレベルがカンストしてしまっていて、ごはんを食べても食べてもいっこうに未来が開けずおじさんが不憫です(バレンタインにアップデートがくるらしいのでそれまでの辛抱だ!)。

 


タワーディフェンスはなんだかんだでこのアプリがいちばん好きかもしれない。何年か前にひととおり遊んで一段落したのですが、最近意を決して課金兵器を入手し(100円で)、新しい世界が開けました。

  • グラフィックが目にやさしい
  • 規則的な効果音を聞いてるとなんとなく癒される気がする
  • なぜ宇宙人は俺たちの羊を狙うのか?なぜ俺たちは羊10頭のためにこんな大それた爆撃で迎え撃たねばならないのか?そのへんがプレイヤーに一切なんにも全く説明されないクレイジーさ

あたりが魅力です。こういう、待ち伏せしてちくちく倒しコツコツお金を貯めて武器を買いドガーン!と吹っ飛ばす、端から敵機が消えてゆくのをニヤニヤと眺めるような陰湿なゲーム大好きです。

2014-02-08 | カテゴリ: weblog, きらくなはなし, たわいないはなし | |  

 

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