きらくなはなし

2月に読んだ本のメモ

最近買った本をかんたんにメモ。内容には触れません。ネタバレないはず。
椎名家には「カバーのかかっていない書籍は共有財産であり、押しつけがましくテーブルの上に置いておいてよいし購入者にことわることなく読んでもよい」「どんなに短くても感想を言い合って読了とする」という謎のローカル文化?がいつからかあるため、マミさん(椎名の戸籍上の母親。みたらし団子と嵐の大野くんを好む)の感想も一緒に書いておきます。


繊細で可愛くて、愛にあふれたキラキラしてる本!
ああ、並々ならぬ思い入れとともにこの世に送り出された作品なんだなあ、という感じがひしひしと伝わってくる、ちらりと見ただけでも。ノンブルの隣にも小さな絵が添えられてたりするんだよ。
読み終わるにはけっこう長い時間がかかった。内容が難解なわけじゃなくて、なんて言ったらいいんだろうね、絵なの。中身のページひとつひとつが。だから、コマを目で追うんじゃなくて、絵を一枚ずつ見入る感じになって。でも漫画を読み慣れている、読める人にはなんなくできることなのかもしれない。わたしは漫画を読むこと自体がとても不得手(コマや吹き出しをどの順番で読めばいいのかを常に迷っているような状態)で、慣れてない方なんだけど、そのせいか一歩ずつ足元を周囲を確かめながら読み進めていく感じだった。細かく書き込まれたひとつひとつがため息出ちゃう感じ。収録されているのは5編なんだけど、うんと長い物語の中にいたみたいだった。
「不得手」とか言いつつもいつになくご機嫌で買った理由は、作者のともさくらさんのお身内がわたしの友だち、というご縁。その友だちのことまでも眩しく輝いて見えます。よくぞ先生を支えてくださった。そんな気分に。

マミさんのコメント「思ったより難しかった。見るとこいっぱいあるねー。なんか映画みたい。この、なんの説明もなく<外国、たぶんフランス>って自然に、特に屋内の絵でわからせるの、すごいよね。絵描きさんってすごい。この本が最初は真っ白いただの紙なんだもんね。信じられないわ!」
「これは雑誌で連載してたの?」(そうですよ)「りぼんとか?」(あなたりぼんしか知らないんでしょう!OPERAっていうBLのコミック誌だよ)「BL?ボーイズ?……あ、そうかみんな男の人の話だね。言われてみれば。こぐまの子はどんな恋をするのかしらね」
「これが初めての本なの?」(そうだよ。まだうんと若い方だよ)「すごいわねえ。立派ねえ。でも、もっとこう描きたいんだ……って理想とかじれったさもご本人にはあるんじゃないかしら。先が楽しみね」


うおおおおおおお!んああああ!いやだいやだいやだ。怖いよう怖いよう。こわい!でも読んじゃう!いや!でも読んじゃう!これもあれも伏線!?読み返したい……でもダメ!止まんない!あああ一気読みしちゃうううう!!
……そして後味は最悪です。ぼう然とするしかない。
なのに、なんだろう、この、脳みそが満足しているこの感じ——!!!
わたし、ページをめくるのはまあまあ速い方だと思うんだけど、これは速読っぽくパッパッパッて読み方ではなくしっかりきっちり読んでもなおすらすらと読み終わった。それはね、引っ掛かりがないんです、文章に。立ち止まらなくていいの。勝手に連れて行ってもらえるの。するするすると滑らかに読めるの。変な日本語だけど。
登場人物の台詞は必ずしもリアリティ一辺倒じゃなくちょっと舞台っぽい書き方をしてあって、でもなんだかそれがいいの。現実にその年頃の女の人が喋っている言葉そのままを文字にしたら、ぴりりとしないというか……たぶんこんな風には気持ちよく読めないんじゃないかなと思った。
男性の作者が女性の日常を書くものを読むと、作中のおしゃべりの話題や登場するブランド名などの選定が大変だったのでは、などと野暮な勘繰りをしてしまいますが、それも大丈夫。指が止まるような「えー……」と思わせるようなズレはない。なんかさーあるじゃん、それはさすがにヘンだよって言いたくなる案件。キャンメイクとブルジョワとエリザベスアーデン、みたいな並び方してたり、ひどいとLANCOMEのことランコームって書いてたりとかそういう台無しがっかり案件!
なによりも不思議なのは(作者の井上剛さんとは何度かお話させていただいたことがあるのですが)、あんなに優しくてユーモアにあふれた井上さんのどこからこんな緻密な残酷さが紡ぎ出されるのかということです。それが、作家ということ、なんですね。さすがですとしか言えない。ひれ伏すしかありません。

マミさんのコメント「ひさしぶりに一気読みした……どうにも止まらなかった……なんなの……なんなのこれ……」
「10ページくらい読んだところで、あっこれだめだ、途中で閉じることは許されないやつだ、と思って慌てて意を決してしおり挟んでコーヒー入れた。そんで厳かに腹を括って読み始めた。読み終わったらコーヒーそのまんま冷たくなってた」
「女同士の嫌な類の他愛ない井戸端感?その底板めくったところにあるおっかないもの、よくここまで書けるね?しつこいくらいよく書けてるよね。男のどうしようもなさもちゃんと書けてるしもう勘弁してほしい。ああやだ。ああやだもう。なんなのこれ……」


待ちに待ったアヴァール!大好きな珍ちゃんのアヴァール!本当に数少ない「わたしの好きなマンガ」といえる存在。これでおしまいなのは残念だけど、これからもことあるごとに読み返すと思う。お金の話を誠実に真摯に、でも楽しくできるような大人にわたしもなりたいものです。
交際しているわけでもない相手からあんな風に「仕事を辞めてくれ」とお願いをされて困ってしまう、というシチュエーションはわたしも身に覚えがあり、くぅぅ……と思いながら読みました(断る理由は同じではないにせよ)。あと「キャミ」という言葉を使っていきたい。
マミさんのコメント「おおお……おおおおお(60ページを読んで悶絶、のち大笑い)おっしゃる通りでございます!ぐうの音も出ないぜ!!!!」
「珍さんって、きっととても真面目な子なのね、そしてちょっぴり、照れ屋さんかもね」
「中村珍、って、本名?」(ちがうよーそれはさすがに!)「あ、そか。でも可愛いじゃない、ちんちゃん、って。これから流行るかもよ」
「(本を閉じ)ん?……この表紙……表紙だけはちゃんとしたフリしてなかったっけ2巻までは!?うふふ!」

2014-02-24 | カテゴリ きらくなはなし | タグ: Comments Closed